ネ グ リ ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン

寝る前より明け方のほうが不安定で絶望的なのは繰り返しのくせにまるで新しいからかな。きっとそうだな。

からだいっぱいに血が満ちてんのに、そこへさらに光が待ち構えている。眩しいな。死ねばいい。生きているなら殺せたのに。わかんない。そいつは。呼吸を感じたことがないし心臓を見たこともないから。光に心臓ってあるのかな。光の心臓って、あったとしたら何重にもくるまないとな。

パジャマ一枚で歩き出したぼくを誰かが射殺してもくれないでただ始まる。
だらだらと、昨夜適量使ったバージンオイルみたいに。無音の裾、いまいましい。

目を瞑り、階段を下りる。
足りないものが足りない。冷たい床。いつか砕いた硝子の破片は片づけられている。転がった鉢植えも、きっと。

蔑みながら羨ましくて仕方なかったよ。
この先どんなにか凶悪に夜が明けてもまるで幸せなことのように、ありあまる富を受け止める恍惚で抱き締めないといけない。

目を瞑って歩く。

どこにもぶつからないのはぼくがこの部屋の間取りを知り尽くしてしまうくらいこの場所に、この場所だけに、停滞しているからであって、少しでも痛い思いをしたくないからなんて理由じゃ絶対に無いんだ。そうでなきゃ困る。息の根を止めるより足の小指を何かの角にぶつけるほうが忌むべき事態だなって考えているようじゃまた夜が明けてしまう。

わけてあげたい、ほら、本当に朝を必要としているひとへ。もらってほしい、どうか、ほら、受け取れるのなら。

ひねくれて、ねじれて、まがいもの。

ぼくが絶対に信じないものが世界にふたつある。ひとつ、明け方の習慣。ひとつ、ぼくを愛しているという。それはときどき、寝ぼけたまま、浴槽でぼくを待つおまえを指していたりする。言ったってわかんないだろ。おたがいにおんなじ口癖。出会ったころから。

誰かがこれを幸福と名づける?それならいい。それでもいい。羨む愚かしさに囲まれて酸欠しそう。ぼくだけは最後まで不幸という名前で呼ぶ。

最後ってだいすき。
ほんとうは贅沢がすき。
だけどすきってきらい。
だから本当はきらい。

準備して辿り着いた。気難しい顔。笑ってなんてやらない。笑ってくれとも言わない。