どれだけ余裕綽々に見えても不安はなくならない
僕はいつも最低だ
ぼろぼろを待ってる
泣かないきみほどつまらないものはないと思ってる
そういった意味でぼくは本当はふさわしくないのかもしれない





「願うのならば」

しなくてもいい後悔をすることよりもつらくてもったいないのは、しなくていい懸念を抱くことだ、こと、新たな取り組みに対して。頭の中なんてさほど変わらない。頭の中だけ比べたら天才とか凡才とかそんなのたいした違いは無い。表現に変えたか。そこだけだと思ってる。幻を。夢を。とりとめのないものを掴もうとすれば、だるいしつらい。逃がすかも知れない。眺めるだけを望めばそれはいつまでもそこにいてくれたかもしれない。それが平気ならそれでいい。それもまた一つの選択だと思うから。だけどもし一瞬でも、幻に実態を与えたいと、この目で見えるものに変えてみたいんだと思うんなら、それが何より尊い才能です。僕は撫でてあげたい。





花の枯れない寝床
ここにいてはいけない
いつまでも僕は

茎が愉楽を担うのを
知っているから
立ち上がれ兄弟

棘つきの猿轡
奪われてしまうよ
文字も言葉も

心地良い寝床の悪意
浸ってはいけない
辿り着いた場所が行き先だ
共に駆けて兄弟





他の人は持ってない
星とリンゴが僕にはあるから
早く還元しなきゃ

輝きを
きらめきを
産まれたらすぐに届けなきゃ

それは思い込み
当たり前の酸素
幼稚な鼓動

この指先ひとつで
きみが危うくなればいい
ただそれだけを願ってた
小さな悪党がぼくの正体





トランプハウスを作るみたいに、生卵を立てようとするみたいに、すごく難しくて、たぶんそんなに意味のないことにおそらく命を懸けていかねばならないということ。絶望も希望ももとをたどれば同じ臍の緒に繋がっていて同じ血を分かち合ってきたんだね。姿勢か言葉か。一度も繋がることのないまま人は生きられない。もし一度でも劇的に情熱的に何か迸りの交差を実感すればその記憶を再生し続けることで生き永らえる生き方もまたあろう。しかしかといって伝わり過ぎたら今度は自分が生きていかれないということも知っている。かわいそうだね。そんなことになんか気づいてしまって。夜は目隠しのため訪れるけど月の光がそれを妨げる。朝日が射すたび目を覚ます頬の下を流れるものがまったく新たな血脈であるならば僕らどんなに幸せな気持ちで、何も考えず、何を臆することも憂うことも無く、微笑み合えるだろうね。僕らどんなに絶望を希求できるだろうね。分かって。救って。だけどそれは分かり続けるためではなくて、永遠に抱擁を望むわけでない。もう一度突き放してもらうため、もう一度裏切られる痛みで希求の忘却を妨げるため。忘れたくない。新しく生まれる血で僕は生きている体だから何も心配いらないんだということ。破られた約束を最後の約束だと決めつけてしまわなければ僕の唇はもう一度歌えるんだということ。忘れないで。





らくがきでもいい
砂浜に書いた記号
ふたりだけのサイン
波が形をあやふやにする
分かったからもう消していいよ
海はそうやってたくさんの
たくさんのサインを飲み込んだ
記号や暗号
誰にも伝わらなかったものまでも
水平線が霞む所以だ
言葉はきっとまだ誰かに届きたい
もうとっくに死んでいても
今も語られる時を待ってる





影を消さないで
そうしたら光も消える
どんなに残酷で悲しくて
目を背けたくなる出来事も
無かったことにして
清い土地を想定したって駄目だよ
とんでもなく堪らない気持ちになったら
消すのは事実じゃない
自分が唯一自由にできるたった一つの燈火
あるいは
唯一だと信じたい自分を無数照らし出す松明
名前も知らない
幻かも知れない
表面をそっと撫でるような眼差し
その一瞬でぼくは何か
もうそれはほとんど衝動といってもいい
生きてちゃいけないんだと思った
もしもこのままでいたいのなら
切るのはスイッチじゃない
寝言を止めない、この喉だ
そうすれば影も光もまた誰かの劇場だ
誰も彼も血を流しうずくまる僕のことなんかほうっておいて





ひとつひとつを数えて
大切にして
噛み砕いて
飲み下す
臓器で包む
これがいちばんの愛
ぼくへの
そしてきみへの
これ以上は望めない
これがいちばんの愛
大好きだった
大嫌いでした





変わっていくことは恐いかもしれない
置き去りにされるほうがどんなに平気かって
誰だってそうだよって言われる生き物になるの
あなたの声はもう除外されてゆくの

あんまりに大切にしすぎたんだね
あなたはぼくとあなたとの閉じた世界を
何もかもがあの場所にあって
さよならだけがいつも足りなかったね

やっと完全になったとき締め出されて
明日目を覚まさなければならない理由がもうわからない

こんなにも晴れた空の下を
まだ何も見えないといってぼくらは歩き出した
こんなにも晴れた空の下を
まだ何もないと分かって歩き出したぼくらをきっと何かが祝福してる





嘘じゃないね
本当の終わりなんだね
ぼくら花嫁みたいだねって
だけど雪原みたいなベッド
それも誰かに踏み荒らされちゃって
初恋の純潔はいつか変わり果てちゃって




きみがぼくの名を本当に知るとき
きみはもうぼろぼろになっちゃったね
きみが一番ばかにしていた生き物よりも

綱に結ばれていない体を
橋の手すりに歩かせる無謀さ
もしも流星群が明日ならばどうするの
それだって同じ唇が云うというのに

はやくだめになっちゃうといいな
美しくないものでいっぱいだよ
もう分かってるじゃないか
不足がいつも言葉なんだ

きみがどこか消えちゃいたいとき
ぼくもきっと連れてってよ
ふたりで家出した夏の一日
あんな幸せはもう二度と訪れやしないよ





殺さないで
息を
反応する
鼓動と涙腺

ぼくの頬はいつも
あなたの零す
熱に濡れている
とめどなく

知らないよ
あなた知らないでしょう

ぼくの体のどの部分からも
そんな熱はたちのぼらない
あなたにしかできない
これはぼくでさえぼくにできないこと

絶やさないで
耳鳴り
に似た
鼓動の共鳴、上下左右の消えた水中

そして吸って、息を。