ハピネス
それは何だか嘘っぱち

ぼくってやつは
きしんだ音からできるから

うまくいかない悔しさで
死にたくなるような恥ずかしさで
ずっとできてきた体だから

居場所なんか欲しくない
雨風を凌げなくても
木陰さえもらえなくても

見つからないって
どこにもないって云いながら
楽園を探してるほうがいいんだ

ハーネス
それはなんだか捨てられない

きっとこれから先の日にも
誰のものでもない自分に
ぼくが飽きる日は来ないだろう

だからごめんね

平和はいらない
たとえきみがぼくを泣いても

100331





「ルロイドの休日」

充電と放電
そのスパンをいつも掴み損ねる
削ぐことが発散で痩身を保つ僕だ

たしなめられたって君の国の王じゃない
手足は自由じゃないと不自由だし
ふと思い立って飛び降りたくもあるだろう

だけどね、
君は云う
何でもできたら何もやりたくなくなるんだ

きみはさ、
僕は云う
だから何もできない体になりたがったんだね

誤算は正答
最初に腕を潰した君の
そうさそこが笑えるんだよ

足で心臓は刺せない

積み重なる僕らの死体
それは夕陽を遮る
紐のような海岸線
何も知らない野良猫たちが幸せそうに入水してる

100324





「花と水の墓」

埋もれてゆくことに感じる安らぎと恐怖が
人によってそれぞれ異なるように

たった一人で輝いてしまう時の恍惚と劣等感が
これから先をただ壊そうとしたんだよ

捨てられたくなくてすべて捨てた
けど捨てるものが欲しくなって手に入れ直した

(そうかぼくは手放す瞬間を快感と感じるよう作られたんだな)

世界は世界における世界のもの、以外の何でもないや
抱き合わせに目も眩むようなアンチ・バランス
プールの底に見た青色みたいな擬似海原
命を救うために集めた血を花壇に撒いたあの時みたいな

不衛生で
不健康で
不徹底な

ぼくはぼくの世界をそこかしこに見ている気がするんだ

血じゃないんだ、
花々は云った
欲しい物はそれじゃないんだ

光とセックスはできないんだ、
水が泣いた
透き通るだけで何も残らないんだ

上記のようにどうしようもないことを嘆く存在はぼくの生きる糧となる。
よってぼくはこれからも花に血をやるし水に光を与えて生きようと思う。

100318





「脱走教本」

積み続く罪と
次は海に住み
僕の傷は膿み
富の夢は消ゆ

空は青く高く
不和は赤く近く
唾は高く吐け
沼は至極浅い

月が満ちて丸い
円周率は美麗
あれは僕の首を
通すために丸い

だから僕は行く
黒い猫を抱いて
だけど罰は未遂
黒い猫を置いて





「日の丸」

追憶の中にある雪原
ただそれだけが世界で
やさしい手がするから
殺りくはかくも美しい

ぼくはきっと子どもで
水槽の棺が欲しくて
赤い魚を追い出したら
日光の下でそれは死んだ

白はうつくしいな
汚れてゆくから
赤はいさましいな
遠慮など知らない

繋がる指から若葉出て
朽ちた骨から種を飛ばすよ

たとえ実らなくても
けして実らなくても

あなたはぼくの光でした





鍵の開いたてっぺん
手すりの無い螺旋階段
そこから世界を見下ろしたなら
神さまの大嘘に気づいてふたり大笑い

ひっくり返ったティーカップ
花の香りに隠れる毒の持ち主
有利も不利も存在しない
あべこべのつぎはぎの世界

繋いだ手は冷たかったりあったかかったり
明日は昨日より上等だったり劣悪だったり
いろんなことがさんざめいて
たくさんのものが散らばって
無情に流れる時間はぼくにきみを不得意にさせる





「センチメンタルリトルバーニー」

夕焼、思ったよりもピンクだね
空が本当に赤かったら
びっくりして泣いてしまうよみんな

雲の間から光り輝くもの
それはぼくらが九九を覚えていたころ信じていた
未確認飛行物体
とかなんとかじゃなくて滑走路を目指す飛行機

人間の欲深さに辟易しながら
何もできないぼくは盲目的に宇宙を渇望している

でも小銭を食べ続けるあの自動販売機みたいに
ほら回り続けるあのコインランドリーみたいに
ただ従属できたらいいのに
不平不満を云わない口はどんなにかかわいいだろう

突拍子無いのは生まれつきで
ぼくは実現可能な事柄を望んだことは一度だってないんだよほんとは

乾いた手のひらに湿った手のひら
続編を失い微笑むきみに目を移すとぼくは今でも泣けちゃうんだ。





終わるから怖いんだ
裏切るから信じられないんだ
破れるから結べないんだ
笑えないから泣くんでしょそうでしょ

でも

眠るために起き上がるんだ
立ち上がるために転ぶんだ
殺されたって生きるんだ
いつか死ねるから意味は無いんだ





「ゴールデン・キャッスル」

ゴールデン・キャッスル
満月に照らされた道を辿り
ゴールデン・キャッスル
あなたはすでに逃亡した
ゴールデン・キャッスル
善悪では語れないわ
ゴールデン・キャッスル
だけど黄金に輝くものの敗北なんだわ
ゴールデン・キャッスル
無作法がすき
ゴールデン・キャッスル
だけどわたしばらばらになんてなりたくなかった
ゴールデン・キャッスル
優秀なあなたの不手際ね
ゴールデン・キャッスル
だけど黄金に輝くものの敗北なんだわ

091110





証明できない
信じるほうが楽だなんてことが
証明できない
あと何回か繰り返せば騙されないだとか

証明できない
ぼくは今日ぼくを欺いているかも知れない
証明されえない
ぼくは昨日きみを死なせたかもしれない

091109